紐足袋
Himo-Tabi


ジーンズにも合いそうな紺色の紐足袋
 現在主に用いられている足袋は、足首部分に鞐(こはぜ)が付けられており、それを掛け糸に 掛けて脱げないように固定するタイプものが一般的であるが、明治中期頃までは鞐があまり普及し ておらず、足袋の上部に付けられた紐を足に巻いて、脱げないように固定する方法がとられていた (歴史3参照)。そのような鞐がなく紐がついている足袋のことは、鞐のある足袋と区別するために “紐足袋”と呼ばれる。
 紐足袋は鞐のある一般的な足袋とは異なり、甲上部の前の縫い目部分が分けられており、 その先端に2本の紐が取り付けられている(写真参照)。足の内側(例えば左足なら右側)についた 紐をくるぶしの外側に沿わせて足袋の内側を通し、後ろ側にある切り込みから紐を外に出し、 くるぶしのところでもう片方の紐と結ぶとう仕組みになっている(下注)
 紐を用いて足袋や襪などの履物を固定する方法は古くから行われており、足首部分に紐が1本だけ ついているもの、後ろに付けられた2本の紐を使い結ぶもの、今回紹介したような前の部分に紐が付いて いるもの、また足袋自体には紐がついていないものなどさまざまが形があったが、江戸時代頃には 前に紐が2本付けられた形に統一され現在に至っている。

正藍染の紐足袋
粋ですが手入れが大変です
紐足袋の構造がよく分かります
※左右とも男のきもの大全様よりお借りした画像です
時代祭の楠公上洛列で使用される紐足袋
これは布製ですが革製のものも用いられます
同じく室町洛中風俗列で
使用される紫色の紐足袋

 江戸時代頃まで足袋は容儀より保温や足の保護を目的として用いられてきたため、現在より筒の 部分が深く、筒の長さが短い鞐の足袋は当初“半足袋”などと呼ばれていた。鞐の足袋は専ら都市部 の町人に用いられていたようで、農村部の住民が紐足袋を履いて作業をしている古写真や、将軍家 においても幕末まで紐足袋が用いられていたことが、史料により明らかになっている。
 紐足袋は鞐が無いため足首まわりに締め付け感がなくゆったりとした履き心地であるが、 鞐の足袋に履きなれるとフィット感が足りないように感じることもある。大正期頃まで足袋は 家庭で作られることも多く、紐足袋は鞐の足袋より製造法が簡単であったため、特に農村部での 作業用に多く作られていたが、既製品の足袋や鞐の普及により紐足袋の生産量は極めて減少して いった。

白色の紐足袋
これなら礼装にも使用できます
比叡山の高僧が回峰行に用いた紐足袋
爪先に補強がしてあります
明治末期に用いられた紐足袋
農村部では遅くまで紐足袋が使用されていました
明治末期に作られた労働用の足袋
底が刺し子で補強されています

 しかし近年伝統やファッション性を重視して、わずかではあるが紐足袋が復刻され生産 されるようになった。柄足袋や色足袋と共に紐足袋が販売されているのを町でも見かけるように なり、紐足袋を注文することができるショッピングサイトも登場している。京都の時代祭では 武将が用いる革製の紐足袋をはじめ、色がついたもの、柄のもの、そして白色のものなど様々な ものが復刻され用いられている。
 現在販売されている紐足袋は、その多くがファッション性を重視して作られているため 色や柄が入っているものが多い。ちなみに礼装には“鞐の足袋”を用いなければならないという 規定はないため、白足袋であれば紐でも鞐でも用いることができるが、柄や色が入っているものは 鞐の柄足袋や色足袋と同じように礼装には用いず、おしゃれや常装用として用いる方がよい。

※ ちなみに、紐の結び方は、文章にするとすごく分かりにくいですが、実際にやって みると簡単だと思います(^_^;“足袋の履き方”に、写真を載せております。


        


<画像協力:男のきもの大全様>
このページの画像の一部は、男のきもの大全様からお借りしているものです。コピーは絶対 におやめくださいm(_ _)m  

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