足袋靴下・靴下足袋
Tabi like Socks(Socks with big toe separate)


 靴下やソックスの中にも、親指と他の指を分けたもの(指付とも呼ばれる)が存在して いる。このような指の分かれた靴下やソックスは、現在数多く生産されており、伝統的な足袋を知 らない人の中には、指を分けた靴下やソックスの事が“足袋”であると思っている人もいるようで ある。このような靴下やソックスは、商品名や通称でいろいろな呼び方がされているが、このペー ジでは便宜的に“足袋靴下(靴下足袋)”と呼ぶ事とする。また、親指部分だけでなく、全部の指 を分けた“5本指靴下(ソックス)”も良く売られているが、このページの特集からは外すことと する。
 靴下は当然、明治期以降に広く日本に入ってきたものであるので、親指と他の指を分ける靴 下が現れたのは、当然それ以降だと考えられ、“タビックス”なる造語も生まれている(注)。現在 では、主に以下の用途の足袋靴下をよく見かける。

 ※注…実は靴下の発祥とされる古代エジプトでは、足袋のように指の 分かれた靴下が履かれていたそうです。しかしまあそれが日本の足袋に大きく影響しているとは思え ませんから(^^;

用途
(このページの)通称
靴下の指が分けてあるもの
足袋風ソックス(足袋風靴下)
足袋の下に保温のために用いるもの
足袋下
地下足袋の下に用いるもの
軍足、ニッカ靴下
足袋の代わりに、着物と一緒に用いるもの
靴下式足袋



靴の下や室内履きに用いる、通常の靴下・ソックスの指を分けたもの

 普段着やおしゃれ着として、洋服と共に用いられるソックスや靴下にも、足袋のように、 親指部分を分けたものが存在する。このソックス(靴下)は通常のソックス(靴下)として用い られるので、色や柄が多い。普通の靴下と同じく左右共通で使えるものと、底に滑り止めをつけ たり、柄の関係で左右が分かれたものが存在する。これらの親指部分を分けたソックス(靴下) のことは、足袋ソックス、足袋靴下、足袋風靴下、タビックスなどと呼ばれており、このページで は便宜上“足袋風ソックス(または足袋風靴下)”と呼ぶ事とする。
 最近まで、足袋風ソックスは男性が革靴の下に用いるような紺や黒の薄手のものが多く、ど ちらかというと“水虫で指を掻きたいおじさん”向けの靴下として認識されてきた。しかし近年、 親指を分ける事による清潔性や健康性、また力が入れやすいという利点が見直されてきたことや、 お洒落として特殊なソックスを履く事が流行ってきたため急激に種類が増加し、若者向けの靴下を 販売しているコーナーでも足袋風ソックスを多く見かけるようになった。特に、親指を分けたスタ イルを可愛いと認識する女性が増えたためか、女性のお洒落用としての、足袋風ソックスの普及が 著しい。
 また、スポーツでは特に野球において足袋の効用の見直しが進んでいる、そのため野球向け に開発された地下足袋や、指の部分が分かれたスパイクが開発されており、その延長として、親指 を分けた野球用足袋風靴下が多く販売されている。
足袋ソックス
足袋ソックスです。親指の割れを除けば
普通のソックスとなんら変わりありません
下駄(下)と共に
和風柄足袋ソックスが売られています



足袋の下に主に保温用として用いるもの

 足袋は現在でいうところのソックスの役割も持っているが、通常その上には草履や下駄を用 い、靴を履くことは一般的ではない。そのため冬には直接風が足にあたり、足が冷えることもある ため、足袋の下に保温用としてさらに靴下を用いる場合がある。このような靴下は、足袋下などと よばれ、特に恒常的に足袋を使用するお坊さんや神職さん向けに売られている。足袋の下専用に販 売されている足袋下はなかなか手に入れることが難しく、また足袋自体がソックスの役割を持って おり特殊な状況下を除くとそうそう足袋下の必要性はないため、一般の方が何らかの理由で足袋下 を使用するとしても、上のような足袋風ソックスや、下に述べる軍足などで代用する場合が多い。


地下足袋やに靴下のように用いるもの

 鳶職の方、土木作業員の方や、園芸に携わる方などは恒常的に地下足袋が用いている。地下 足袋は靴と異なり容易に洗濯が可能だが、それでも履き心地や保温性の点からか、地下足袋の下に は指を分けた靴下が用いられている。よく用いられているのが、軍足と呼ばれるタイプのものと、 ニッカ靴下と呼ばれるタイプのものである。
 軍足と呼ばれるタイプのものは、綿製の薄手の靴下で、もともと軍隊で用いられていたもの であるため“軍足”と呼ばれている。旧軍隊では軍足に白木綿が用いられ、現在のソックスのよう に伸縮性が無かったため、履いた時にずり落ちないように、口先部分のみゴムなどが入れられてい た。現在は、作業用として販売されている指先、踵部分のみ他の部分と色が異なる靴下全般のこと を軍足と呼ばれており、通常の靴下やソックスと同じく、化繊、化混で作られたものや、白だけで なくカラーになっているものもある。
軍足は10足で500円程度のものもありかなり安価であるが、あまり丈夫でないために履き 潰す感覚で使用される。ちなみに軍足と言うと、指の分かれたものを想像される方が多いが、実は 先丸と呼ばれる通常の靴下タイプのものや5本指タイプのものもあり、やはり安全靴の下など作業 に多く用いられている。

 ニッカ靴下と呼ばれるものは、厚手の綿もしくは化繊製の、長さが膝のあたりまである 非常に長い靴下である。鳶の方はよくニッカズボン(ニッカーボッカーの一種?太もも部分が膨ら んでいるあれ)を履かれるが、それにあわせて用いられるので“ニッカ靴下”と言われるのではな いかと推測される。ニッカ靴下は、地下足袋とニッカズボンとの間に、一寸かぶせて色合いを見せ るように用いられるためか、赤、緑、青など、原色系の非常にカラフルなものが多い。また、この ニッカ靴下の事を指して“タビックス”と呼ぶ場合もある。
 ニッカ靴下は、安価な軍足とは異なり高価だが丈夫で暖かく、どちらを使用するかは作業内 容と好みによって分かれていると考えられる。但し、広く一般的に売られている軍足に対し、ニッ カ靴下は作業用品店で、しかも鳶装束コーナーに置かれていることが多いため、あまり一般的に用 いられているものではない。
 

軍足
普及タイプの軍足です
1足100円以下のものもあり格安です!
作業用品店で売られるニッカ靴下
ご覧の通りカラフルで厚手な物が多いです

 一方で、農作業や祭で地下足袋を履かれる方は、恒常的に地下足袋を使用される方より使用頻 度が低い為か、専用のものではなく、靴用の足袋靴下を用いたり、素足のまま地下足袋を用いる事も 多い。
 ちなみに、デザインされた地下足袋を販売されているsou-souさんでも地下足袋の下に履く靴 下足袋を販売されているが、こちらでは“足袋下”と呼ばれ、一番上の足袋風ソックスに近い(という より用いる事が可能な)タイプのものである。


足袋の代わりとして、着物と一緒に用いるもの

 このタイプの足袋靴下は、主に2種類ある。本来は足袋を使用すべきところに、足袋の代わ りとして用いられるもののために、このページでは便宜的に“靴下式足袋”と呼ぶ事とする。まず 1つ目のタイプのものは白足袋の変わりに用いるもので、このタイプのものは、社寺など恒常的に 足袋を使用するところで扱いやすさから足袋の代わりに用いられていたり、大勢の人が参加する祭 のような足袋を履く人の足の大きさが予測できない場合などに、白足袋の代わりに用いられている 。一般の人が着物を着る際用いることもあるが、伸びる素材を使った足袋も普及しており、このタ イプの靴下式足袋を用いる必要性が少ないため、あまり使用されていない。
 もう一つのタイプのものは、需要の関係で量産が難しく、また単価も高くなる色足袋や柄足 袋を靴下の素材で作ったものである。柄は伝統的な色や柄を始め、奇抜なデザインのものや、足袋 風ソックスとしても使用できるものもある。レトロ着物ブーム、和風ブームにのって、このタイプ の靴下式足袋の種類は、近年爆発的に増加している。
 これらの靴下調足袋は、本来は足袋を用いる場面の使用に耐えうるよう、足袋の代わりとし て作られているため、足袋のように底が作られているものや、縫い目の線が入れてあるもの、チャ ックなどを用い、鞐の役割をさせているものなど、遠めで見ると本物の足袋にみえるように作られ ている。その為、足袋式靴下のことをそのまま“足袋”と呼ぶ事も多く、いわゆる伝統的な製法で 作られた“本物の足袋”を知らない人が増える一因でもある(悩)

白足袋の変わりにとある神社の祭に用いられた “靴下調足袋”ですが
こちらのものは構造的に“足袋下”に近いような(^_^;













<画像協力:真央梨様>
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