襪(しとうず)
Shitouzu(Ancient socks)


襪 しとうず
仕立て方が足袋と同じ、現代版の襪
社寺において使用されたものです

 襪とは「しとうず」と呼ばれる、足袋の原型となったとされる親指が分かれていない履物である。 中国から渡ってきた履物が原型とされ、古事記の中にも登場する足袋より古いものである(詳しく は、足袋の歴史1参照)。旧仮名遣いで は“したうづ”と書き、“したぐつ(下沓)”が訛ったものとされる。
 古くから、束帯、十二単などの“装束”を身につける際や、神社や寺での重要な儀式に用いられて きた。現在、一般では襪を用いることはまずないため、“襪”という名前の履き物があるという事自 体ほとんど知られていないが、古くから執り行われてきた儀式や祭事には、伝統に則り現在でも襪が 用いられている。
 旧来の襪は足袋とは異なり、2枚の布を足の形に合わせて縫い合わせる仕立て方がされていた が、縫い目が足底を通り履き心地に違和感があったことから、明治中期以降は足袋と同じように底の ある仕立て方がされるようになった。現在では綿で作られたものが多いが、明治期以前は錦で作られ た物や、舞楽や蹴鞠の際に使用する革製のものもあった。現在でも舞楽や蹴鞠には襪を復刻、あるい は模造し使用されることもある。一方、上にも書いた通り束帯や十二単を着用し執り行われる重要な 儀式には、今も伝統に則り襪が使用されている。これらの儀式に使用される襪は、素材に白平絹を使 用し、紐足袋のように鞐の変わりに紐が付いている古来からの姿に近いものである。


しとうず 襪 指割れの比較
 社寺で多く使用されている、 鞐タイプの“普及版”襪
親指の所が足袋のように割れていませんね
儀式に使用された平絹の襪(しとうず)
平安時代の襪
儀式に使用された平絹の襪
伝統に則り鞐がなく紐がついています
平安時代の襪を模したもの
2枚で仕立ててあり底がありません


 一部社寺では、現在でも恒常的に襪が用いられている。例えば伊勢神宮では神事には襪、 日常は足袋と使い分けがされており、一部の禅宗系の寺院でも重要な仏事には沓と共に襪が用いられ ている。ただしこれらの襪は、伝統的な絹製で紐式のものではなく、綿製、鞐付きのものである。ち なみに神社では故実に則り「しとうず」、寺院では「襪子」と書いて「べっす」や、べっす足袋と呼 ばれることが多い。
 仏具神具用品の店では、襪子足袋、先丸足袋といった名称で、綿製で鞐付きの襪が販売されて いることがある。写真(中上左)の物は、そのような仏具神具店で比較的手軽に手に入れることができ る綿製で鞐付きの襪(襪子足袋)である。このタイプの襪は、大手足袋メーカー“福助”をはじめ意 外にも多くの足袋店で人知れず生産されており、ネット販売を通じ一般にも販売されている。襪は、 実は手に入れようと思えば簡単に手に入る物でもある。

※ ちなみに、上にも書いてあるとおり、“しとうず”は“したぐつ”の訛りなので、本来なら “しとうず”ではなく“しとうづ”と表記するのが正しいようですが、現在一般的に“しとうず” の表記が使用されているので、当ページでもこちらを採用しております。


      



<取材協力:喜久や足袋様、はきもの博物館様他>
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