足袋の生地と素材

足袋の生地と素材
Tabi Matelial

 足袋の表地には主に綿が使用されている。その中でも生地の織り方によって、キャラコ、ブロー ド、繻子(朱子)などの種類がある。現在では、綿キャラコ、ブロードの白足袋が一般的であり、 化繊を使用したものも多い。
 キャラコ、ブロードは、現在最も一般的な足袋である綿の白足袋や紺足袋を始め、多くの足 袋に使用されている生地の名前である。キャラコ、ブロードともに平織(※)の一種であるが、縦 糸と横糸の比率がキャラコはほぼ同数であるのに対し、ブロードは横糸よりも縦糸の数が多い織り 方がされたものである。そのために、キャラコは見た目がよく足にもフィットし、またブロードは 横方向への伸縮性があり動きやすいと言われており、キャラコ足袋の方が高級と言われているのだ が、織物の技術も向上している現在では、その違いは素人目にはほとんど分からず、価格差も縮小 気味である。

※ 織物には“織物三原組織”と呼ばれる、基本となる 3つの織り方があります。それは平織、斜文織(綾織)、朱子織であり、すべての織物はこの3 つの織り方を応用し作られたものです。その中でも平織は、縦糸、横糸2本以上で構成され、縦 糸と横糸を一本おきに交差させる、もっとも基本的で単純な織り方です。
平織組織図
朱子織組織図
綾織(斜文織)組織図
平織の組織図
朱子の組織図
綾織の組織図

 また男性が用いる黒足袋の生地には、朱子織が多く使用されている。朱子織も縦糸と横糸 で構成されているが、縦糸と横糸5本以上で構成され、交点をなるべく少なくし隣り合わないよ う分散させることで、どちらか一方の糸のみが表面に表れているように見え、滑らかで光沢があ る。強度は平織や下で述べる綾織と比べて弱く、光沢を出し見た目をよくするために用いられる 。

 その他、作業用の足袋や足袋底、地下足袋の表地に使用される織り方として、綾織(斜文 織)と呼ばれる織り方がある。綾織は、縦、横3本以上の糸で構成され、平織のように1本づつ 糸を交差させず織ることで、糸の浮きが織物の表面に斜線となって表れるものである。
 糸の強度が生地の強度に比例する平織(キャラコ、ブロードなど)とは異なり、綾織は一 本の糸に複数の糸が編みこまれるため、地厚であり耐久性や伸縮性に優れる。反面平織や朱子と 比べて生地の表面に糸の浮きが表れ見栄えが悪くなるため、地下足袋をはじめとする作業用の足 袋に多く用いられるようになったのであろう。

平織の足袋の表地
実物はもっと滑らかです
綾織の足袋の表地
どうみても斜め線です。本当に(略)

 以上述べたものが綿の足袋に用いられている一般的な織り方であるが、技術の向上により 特殊な織り方がされた足袋も増加している。素材は綿が一般的であったが、特に伝統的な織り方 がされた綿の足袋は、洗濯による縮みや汚れ、黄ばみが目立つために、綿素材であっても糸に防 縮加工、防汚加工がされたものや、新たに開発された特殊な織り方がされたものが中心となって きている。また化繊は取り扱いがしやすく安価な上に、ある程度伸び縮みする生地を用いて足袋 に親しんでいない現代人にとっても履きやすい“伸びる足袋”を作ることもできるため、化繊、 合繊の足袋も増加している。化繊、合繊の足袋は、技術の向上により履き心地も綿の足袋に近い ところまではきているが、汗をかいたときや、足にピッタリとした大きさの足袋を履きこなす時 などには、天然素材の履き心地の優位性は変わらない。
 足袋には綿ではない生地を使用して作られたものもある。その中でも麻足袋は、現在でも 比較的多く用いられているものである。麻はもともと綿が登場する前に一般的に使用されていた 安価な生地のため、ざっくりとした風合いを持ち、保温性が低く皺もつきやすい。しかしその素 材に漂う冷涼感と通気性の高さという特長を生かし、現在では夏に使用する足袋となっている。


麻足袋は涼しそうに見えると言ってくれ!

 また、現在では一般的ではないが絹や革で作られた足袋もある。絹の足袋は結婚式など特 別な礼装用として用いられてきたが、高価な上に手入れが難しいため、現在ではほとんど用いら れていない。生地は平織の一種である羽二重が一般的であり、光沢があり非常に肌触りがよい。 現在では最も特殊であるのが革の足袋であるが、革には一般的に鹿革が用いられる。鹿革は革の 中でも丈夫な上に吸湿性がよい上柔らかいため、日本では最も一般的に使用されてきた革であり 、足袋にも使用されるようになったと考えられる。現在でも剣道具やゆがけ(弓を射るときの手 袋)には鹿革が多く用いられており、革足袋も時代行列や流鏑馬、また着物好きの方に用いられ ることもあるなど需要がないわけではないが、足袋は加工場所が多く製法が難しいためかなかな か見かけない。また、溶接や舞踊など特殊な用途に合わせて牛革や合皮を使用して作られた足袋 もあるが、一般的ではない。

 ちなみに…服飾関係の場合、縦糸のことを経糸、横糸のことを緯糸と表すよう ですが、このページでは分かりやすいように(なにせ管理人がド素人なんで)縦糸、横糸と表現 しています。また、このページでは“綾織”と表記している織り方のことを服飾業界では“斜文 織”と表現することが一般的なようですが、足袋業界では“綾織”と呼ばれることが多いため、 綾織と表現しております。最後に、足袋の裏地については、足袋裏をご覧ください。





      



<イメージ画作成協力:めれでにあ副管理人 真央梨様>
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