別珍足袋
Becchin-Tabi



黒色の別珍足袋


 別珍(べっちん)というビロードの一種である素材を表地に使用し作られた足袋。その風合い から近年になって登場した足袋のように見受けられるが、江戸時代においても別珍は大陸から 輸入されており、別珍足袋は高級足袋として珍重されていた。明治期以降、庶民も容儀や保温の 為に足袋をよく用いるようになるが、昭和初期頃には別珍足袋が、ネル裏の足袋よりさらに暖かい 足袋としてブームになり、その利便性や保温性から、戦後期まで常装の防寒用として、女性がよく 用いるようになった。 漫画“さざえさん”の初期の頃には、洋装の女性が黒っぽい足袋に下駄履きという姿でよく登場 しているが、その足袋は別珍と考えられる。またNHKの朝ドラ“純情きらり”の登場人物も、 女性は洋装、和装ともに女性は別珍足袋をよく用いていた。このように、戦前、戦後期は別珍足 袋は女性がよく用いていたため、“防寒用として冬に履いていた”という記憶を持つ人も多く、 別珍足袋は“防寒用の女性用の足袋”というイメージが一般化している。

別珍は“コール天”の仲間
起毛素材特有の風合いが分かりますか?
別珍足袋の底
ちなみに裏はネル裏です。これは暖かい!
濃い赤の別珍足袋
一昔前の標準色です(
濃い緑の別珍足袋
後ろには青や黒も並んでいます

 別珍足袋は女性の常装、防寒用としてに使用されることが多かったため様々な色のものがあ る。その中でも戦前、戦後期頃には黒、濃い赤、濃い緑などが一般的であった。
 戦後期までは生活に密着していた別珍足袋であるが、靴下や暖房器具の普及により、常装と して用いられることは稀になった。しかし近年、色足袋、柄足袋と同じくアンティーク着物ブーム の影響で、別珍足袋もまた街で見かけるようになった。福助などの大手足袋メーカーは現在でも 別珍足袋を生産しており、呉服店や百貨店の“足袋フェア”の際に販売されていることもある。ち なみに女性専用の足袋と思われがちだが、男性用別珍足袋も存在している。


      


<取材協力:浅草めうがや様・足袋とくらしの博物館様>
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