色足袋各色
足袋には、白足袋、紺足袋、黒足袋など、街や呉服店で比較的よく見かけるものだけでなく、
薄緑、からし色、紫色などカラフルな足袋も存在する。現在ではそれらの色があり、無地の足
袋のことを、一般的な白足袋や紺足袋と区別して“色足袋”と呼ばれている。一昔前は大きな
呉服店や専門店でないと色足袋を手に入れることができなかったが、近年のレトロ着物ブーム
や浴衣ブームの影響で、柄足袋と共に急速に種類が増加し、通販をはじめ雑貨店やリサイクル
着物店などでも簡単に手に入れられるようになった。
色足袋は、鎌倉時代頃に染色した革で足袋が作られたのが起源といわれており、室
町時代には武家の女性の間で紫に染められた革足袋が多く用いられた。江戸時代中期になると
足袋の色は次第に白、黒、紺に統一されていったが、それでも歌舞伎や舞踊、祭りなどに色足
袋が用いられてきた。現在でも歌舞伎には役柄に合わせ深緑や黄色、紫の足袋が用いられてお
り、また琉球舞踊には赤色の足袋が多く用いられている。
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祭専門店で売られる色足袋
下には地下足袋や草鞋が並んでいます
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明るい色合いの色足袋 |
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麻を用いた色足袋
おしゃれなブランド品です |
深緑(竹色)の色足袋
底色も表地に合わせてあります |
現在では柿色、灰色、薄緑などの伝統的な色合いの足袋だけでなく、染料の発達やファ
ッション観の多様化により、明るいレモン色や黄緑色、ピンク色といったカラフルな色足袋も
販売されるようになった。表地の素材は伝統的な色のものを中心に綿製もあるが、価格や染色
の関係からか、ポリエステルなど化繊で作られた物が多い。また底色は白底、黒底や、表地に
合わせた色など多様である。
どんな着物にも比較的合わせやすい白、黒、紺足袋とは異なり、色足袋は着物に合わせ
にくいが、上手に合わせると一層着物通で粋な姿に見せることができる重要なアイテムである。
しかし、色足袋は、あくまでお洒落用であり常装用として見られているため、礼装にはできる
だけ使用しない方がよいが、薄く色が入った程度の色足袋ならば、時として礼装にも用いては
よいのではないかと管理人は(勝手に)思っている。
<取材協力:浅草めうがや様・行田足袋の博物館様>
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