縫い付け地下足袋


−縫い付け(鳶)地下足袋−



この地下足袋も縫い付けタイプ

 地下足袋の中で、貼り付けタイプの地下足袋と並んでよく見かけるのが、この縫い付けタイプの 地下足袋(以下、縫い付け足袋と略)である。特に鳶職の方や、祭の際に使用されている地下 足袋はこのタイプである場合が多い。
 この地下足袋は、“縫い付け”の名前の通り、“足袋”の部分と、“底”のゴムの部分が縫 い付けてある。他のタイプの地下足袋や靴に比べても底が非常に薄く、穿いていても、素足でいる ような感覚が得られる。また、底が薄いためとても軽い。このように、地下足袋の利点をもっとも よく生かしているのがこの縫い付け足袋であるといえるが、糸で縫い付けてある部分があるため 、雨などで濡れると水が染み易く、また底が薄いため、石が多い砂利道や、建材などが多い場所で の作業には向いていない。また、強度も他の地下足袋に比べると若干弱い。

底に縫い目があるのがわかるでしょうか?
内底は刺子のようになっています


 縫い付け足袋は、靴や他の地下足袋と違い、中底(靴で言う中敷の部分)は刺子縫いになって いる物が多い。これは、薄さと強度を両立させるためと考えられる。また、縫い付け足袋は江戸時代 頃から存在した“刺足袋”が発展していったものである為、その名残である可能性もある。
 特に縫い付け足袋の場合は、底は裸足の感覚に少しでも近づけるため、メーカーによって足裏 にフィットするよういろいろと形状の工夫がされている。一般的に指先、かかとと足の外側部分には 、小さな三角形のリブが設けられている。これは横方向の滑り止めと、グリップ性を少しでも向上す る目的で設けられているものである。また、縫い付け足袋は筒が長いものが多いが、これは動きやす いように筒部分が脚絆の役割を兼ねている為である。
 縫い付け足袋は、鳶職の方を始め、土木工事や塗装業、山仕事をされる方などに幅広く使用さ れている。特に鳶職の方は、仕事の性格上足の感覚から得る情報が非常に重要なため、基本的に足の 感覚を得やすい縫い付け足袋を穿いている。そのために、作業用品店などではこの縫い付け足袋のこ とを“鳶足袋”と呼ぶこともある。また、縫い付け足袋は軽く動きやすい上、伝統的製造法である為 か、祭り用としても多く使用されている。用途でいえば、一番幅広く使用されている地下足袋である といえる。ちなみに、以下は管理人の考えだが、“素足でいるような感覚が得られる”という縫い付 け足袋の長所を生かすためには、地下足袋用の靴下などを穿かず、素足に直接縫い付け足袋を履い た方がよいのではないだろうか。

底に見られる三角形のリブ
横の部分にも縫い目がみられる手縫い足袋


 現在大手メーカーから発売されている一般的な縫い付け足袋は、縫い付けといっても、一度 接着剤で底と足袋部分を貼り付けた後、ミシンにより糸で縫いつけてあるが、接着剤を全く使用せ ず、全て糸で縫い付けられた地下足袋もある。このような縫い付け足袋は糸が二重となっているた め、二重縫と呼ばれており、接着剤が用いられていないため、底が剥がれにくく頑丈という特徴が ある。この中で特にミシンなどを使わず、手作業で縫われた物は、手縫い二重縫などと呼ばれ、縫 い付け足袋の中で特にこだわりをもって作られた逸品とされているが、底が多少厚くなる為、底を 貼り付けて作られた足袋の方が足の裏の感覚が得やすいようである。底が貼り付けていない手縫い 足袋の場合、底を手で曲げてみた時、中底部分とゴム底部分が離れるのが分かる。

※ 刺子(さしこ)の意味が分からない方へ…本館“TABIの博物館”の中の、“漢字の読 み方と意味”に解説が載っておりますのでご覧ください


      
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